6月5日 参議院決算委員会 仁比聡平議員(共産党)VS松本国家公安委員長VS安倍晋三首相の「共謀罪と市民のプライバシー」の一部を書きました。
仁比聡平議員(共産党)
「結局、与党はよく、労働組合や市民団体は組織的犯罪集団にならないとしきりに言うんですけれども、「一変」にせよ「隠れみの」にせよ、結局、人々が何かを話合い、合意をしたことを警察が重大犯罪の共謀だと疑いをかけたときに、その人々が組織的犯罪集団だと警察がつかみ、判断する、そうおっしゃっているだけです。
では、「隠れみの」かどうか、活動実態や組織構造をどうやって見極めるのかと。
国家公安委員長にお尋ねをしますが、現に大問題になっているのが岐阜県警の大垣署事件です。
住民は、中部電力の子会社の風力発電施設建設をめぐって勉強会を開いただけでした。ところが、岐阜県警は、その住民の機微なプライバシーをひそかに収集し、事業者側にこっそり提供して、住民運動をどう潰すかと相談をしたわけです。それが発覚した。国会でも大問題になって議論になった。
ところが、政府はずっと『通常業務の一環だ』と言って正当化をしてきたわけですね。
同じような認識で、住民運動が「隠れみの」かどうか情報収集をし、共謀罪の嫌疑がその中から出てくれば捜査に移行していくというのが警察活動の現実ではありませんか?」
松本純 国家公安委員長
「えー、この捜査は個別の事案関係、事実関係に即して行われるものでありますから、テロ等準備罪をどのように捜査するか、について具体的にお答えすることは困難であり、その上で、一般論として申し上げれば、ある団体が組織的犯罪集団に当たるかどうかについては、その団体の実態に即して、えー、法と証拠に基づき個別に判断されるものとなると思います。」
仁比議員
「全くお答えになっていない。
警察は、犯罪捜査とともに犯罪予防の名の下に 情報収集活動を徹底して行っているわけです。公安活動とか行政警察活動と、そういうふうに言われます。
そうした警察の通常業務の一環である、と正当化しているのが私が申し上げた岐阜県警大垣署のやった実際の情報収集活動なんですね。
現にやっている、それを今も正当化しているということになれば、これからもやると、今もやっていると、いうのが当然であって、そのことが一つよろしいかということと、
もう一つは、その情報収集活動の中で、一定の集まりの中で何が行われているのか、活動実態をあるいは組織実態をこれつかむということになるでしょう。実際これまでそうやってきている。その下で、共謀罪が行われているのではないかという嫌疑を抱けば捜査に移行するんじゃありませんか?」
松本国家公安委員長
「警察では、平素より様々な情報収集活動を行っておりますが、その目的は、『公共の安全と秩序を維持するという警察法に定められた責務を果たす』ということにあり、情報収集活動はその責務の範囲に限られ、その手段、方法については法律の範囲内で必要かつ妥当な限度内において行われるものであると認識をしております。」
仁比議員
「皆さん、答弁されていないでしょう。おかしいでしょう? この公安警察活動の実態について聞かれると、全て口を拭って、『法令にづき適切に職務を遂行している』などと述べ続けるだけ、総理もそれを正当化される、
この間の本会議場でのご答弁、そういうことでした。
一個ね、松本国家公安委員長、確認したいんですが、先週の法務委員会で私の質問に対しておっしゃった、『公共の安全と秩序の維持という責務を果たすために行う警察活動の結果』、これはつまり情報収集の結果ということですが、これを個別具体の状況に応じて捜査に活用するということは否定されていない、と答弁されました。そうですね。」
松本国会公安委員長
「一般論としてはあり得ると存じます。」
仁比議員
「いや、つまり、犯罪予防の名の下に広く行われている公安情報収集活動と共謀罪の犯罪捜査というのは、これ連続して行われるんですよ。お認めになりました。
この大垣事件で監視をされたのは4人の方々です。中には勉強会には全く無関係だった人もいるんですが、 総理、聞いていらっしゃいますか?
この方々はなぜ情報収集の対象になったのか、その基準はどこにあるんですか、松本大臣。」
松本国家公安委員長
「岐阜県大垣警察署の警察官が『公共の安全と秩序の維持に当たるという責務』を果たすため、関係会社の担当者と会っていたものと警察庁から報告を受けております。
個別具体的な内容については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきます。」
仁比議員
「結局、警察のさじ加減一つということなんですよ。
総理にお尋ねしたい。
それは、プライバシーを侵害される国民の傷の深さについて、どんなご認識かということなんです。
大垣事件の被害者のお一人、船田さんという方がいらっしゃいますが、監視されたことが分かり、人の目を気にする自分がいる、人を信頼して本音を打ち明けられなくなる監視の怖さ、共謀罪の怖さということを語っておられます。
お寺の住職の松島さんという方が西日本新聞のインタビューに応じられました。そこでは、勉強会から約1年たって、新聞の取材を受けて初めて、自分と友人が警察から調べられていたということを知ったんだそうです。
県警からは謝罪はない。
学歴や病歴まで県警に教えたのは一体誰なのか、
尾行されていないのか?盗聴はされていないのか?
ふとしたときに 集落の人を疑心暗鬼の目で見るようになったと、うつむいて語っておられるんですね。
警察によってひそかにプライバシーを侵害され、なぜ調査対象にされたのかも分からない。
総理、こうした深い傷を負った被害者に私は謝罪すべきだと思いますよ。いかがですか?」
安倍晋三首相
「既に松本国家公安委員長が答弁しているとおり、警察がその責務を果たすために行う行動は、もとより法令に基づき適切に遂行されなければならないものであります。警察には、引き続き、国民の信頼に応えるべく、法令を遵守し、適正に職務の遂行に当たってもらいたいと考えているところであります。
そしてまた、テロ等準備罪処罰法案につきましても、従来から法務大臣が答弁をさせていただいておりますように、『被疑者』でなければ、これは捜査の対象にはならないわけでございまして、まさにこれは、実行準備を行っていなければ、これは言わば『被疑者』とならないわけでございます。という意味におきましても、言わば「一般の方々が捜査の対象になることはない」と、このように考えております。」
仁比議員
「総理が、ここに来てもなお正当化しておられるわけですね。
総理、今、ご答弁の中に、『被疑者にならなければ捜査の対象にならない』というお話ありました。これ、犯罪と思料されるという段階にならないと捜査の対象じゃないということをおっしゃっているんでしょうけれども、けれども、岐阜の大垣署の事件で、今も国家公安委員長がお認めになっておられるとおり、風力発電計画の施設の建設問題について勉強会を開いたというその住民の方々を、プライバシーに立ち入った情報収集の対象にして、それを通常業務の一環ですと言っているのが警察なんです。
そうした方々が警察活動のひそかなプライバシー侵害の調査の対象になっている。このことについても認識はない、ということじゃないんでしょう?」
安倍首相
「今のこの個別の事案について私はお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、言わば警察は、言わば一般論として言えば、警察がその責務を果たすために行う行動はもとより、法令に基づき適切に遂行されなければならないと、こう考えているところでありますし、テロ等準備罪処罰法案につきましても、言わば謀議をする、そしてさらに
実行準備をするということになってこれは『被疑者』となるわけでありまして、言わば『被疑者』とならなければ捜査の対象にならないわけでありますから、「一般の方々が捜査の対象になることはない」と、このように考えております。」
仁比議員
「警察公安活動の情報収集活動と捜査が連続するということは、先ほども国家公安委員長がお認めになったとおりであって、
総理、今日の議事録よく読んでいただいて、本当にこのまま共謀罪法案通していいのかと、よく考えたら撤回した方がいいと考え直された方がいいですよ。」